Q.登記所に届け出た会社等法人の印鑑を変えることはできるのですか?

Q.登記所に届け出た会社等法人の印鑑を変えることはできるのですか?

A.登記所に届け出た会社等法人の印鑑を変えることは、商業登記法に定めるところにより可能です。

会社実印の改印手続

会社等の届け出た印鑑、すなわち実印も前設問の2-7に記載したような変遷をたどることになります。それでは、会社等法人の実印の改印手続はどのようにするのでしょうか。会社実印を変えることを「改印」といいます。改印については商業登記法20条1項後段に「改印したときも同様とする」と規定されています。すなわち、手続については、新たに印鑑の提出する場合を定めた商業登記規則9条1項から5項等の規定に従います。改印の手続は、会社の本店を管轄する登記所で行います。支店を管轄する登記所で行うことはできません。

必要書類等としては、以下のものがあります。

1.印鑑(改印)届書(法定様式であり、新規の提出と改印は同一の用紙です)
2.新たに届ける印鑑
3.会社代表者(代表取締役等)の個人実印
4.その個人実印についての市区町村発行の「印鑑登録証明書」(作成後3カ月以内のもの)

紛失の手続き

改印関係の手続について、紛失も含めて具体的に説明します。以下は、法務省ホームページに掲載されている「商業・法人登記Q&A」の要旨です(詳細な手続については、http://www.moj.go.jp/MINJI/minji69.html参照)。

1.印鑑および印鑑カードの両方を紛失した場合の対処方法

i.新たな印鑑がすぐ用意できる場合

会社設立時の印鑑届の手続と同様であり、「印鑑(改印)届出」には新しい会社の印鑑のほか、会社代表者の個人の印鑑で市区町村に届け出た印鑑、つまり実印を押印したうえで、その「印鑑登録証明書」(作成後3カ月以内のもの)をあわせて提出します。この「印鑑(改印)届書」には、改印前の会社実印を押印する必要はありません。

ii.新たな印鑑をすぐに用意できない場合

印鑑の廃止の届出および印鑑カードの廃止の届出をします。

2.印鑑を紛失した(印鑑カードは紛失していない)場合の対処方法

i.新たな印鑑をすぐ用意できる場合

この場合には当該印鑑の変更(改印)の届出をすることになります。

ii.新たな印鑑をすぐ用意できない場合

印鑑の廃止の届出および印鑑カードの交付を受けている場合には、同時に印鑑カードの廃止の届出をします。

改印手続の留意点

改印手続の際、印鑑届出者である会社代表者(代表取締役等)の登記記録上の住所と市区町村発行の「印鑑証明書」に記載された住所が相違する場合は、会社代表者の住所変更の登記を事前、もしくは同時に申請する必要があります。

コラム:「税印」とは?

印紙税は、印紙税の課税文書に印紙税額に相当する金額の印紙を貼り付けて消印をすることによって納付するのが原則ですが、課税文書が大量に作成されたり、また、事務処理が機械化されるなどして、課税文書にいちいち印紙を貼り付けることが困難となる場合がしばしばあります。そこで、印紙税法では、課税文書に印紙を貼り付けることにかえて、税印を押すことができるとされています(第9条)。

この方法は、課税文書が一時に多量に作成されるような場合に、その課税文書にいちいち印紙を貼り付けることのわずらわしさを避けるために設けられたもので、あらかじめ印紙税を金銭で納付して、特定の税務署に設置されている税印押なつ機により税印を押すものです。株券などに浮き彫りになった「税印」と表示したマークをみかけますが、税印は、機械的な圧力により紙面に凹凸の印影をつけることにより表示されます。

(印鑑の基礎知識―知らないではすまされない― 金融実務研究会(著)より抜粋)