Q.会社の印鑑の提出はどのようにするのですか?

Q.会社の印鑑の提出はどのようにするのですか?

Q.会社の印鑑の提出はどのようにするのですか?

A.会社の印鑑の提出は、その会社の設立登記申請と同時に登記所(法務局)に対して「印鑑届書」を提出することにより行います(商業登記法20条1項・2項)。この登記所に届けられた印鑑がいわゆる「会社実印」となります。「印鑑届書」には会社実印のほか、会社代表者の個人実印を押印したうえで、その個人の印について「印鑑登録証明書」(作成後3カ月以内のもの)をあわせて提出します(商業登記規則9条5項4号等)。

なお、外国人の場合には、印鑑届出書の署名が本人のものであることの本国官憲(日本における領事その他の権限がある官憲)の作成した証明書を添付することになります。

会社等法人の場合の印鑑登録の時期

商業登記を申請する者は、あらかじめ使用する印鑑の届出をしなければならないことになっています。

株式会社をはじめ会社法に根拠を置く会社は、その本店の所在地を管轄する登記所に対して設立登記を申請することにより成立します(会社法49条、579条)。一方、登記申請人となる会社の代表者(代表取締役等)は、あらかじめ印鑑を登記所に提出しなければならないため、設立登記申請書類と一緒に「印鑑届書」を提出します。このときに提出された印鑑のことを実印あるいは会社実印といいます。

また、印鑑登録した会社の代表者(代表取締役等)が交代したときは、あらためて印鑑登録を行う必要があります。

会社実印とすることができる印鑑について

個人の場合と異なり、制限事項はそれほど多くありません。商業登記規則によれば、以下の二つです。

①会社実印となる印鑑には、辺の長さが1cmの正方形に収まるもの、または3cmの正方形に収まらないものを使用することができません(商業登記規則9条3項)。

②照合に適するものでなければなりません(同条4項)。

上記の大きさに関する基準を満たすものであれば、丸印に限らず角印等を実印とすることもできますが、いわゆるシャチハタ印などの浸透印やゴム印といった変形しやすく照合に適さない材質のものから顕出された印鑑は、実印として登録することができません。

また、印鑑の表現については、個人の場合の各市区町村の印鑑条例のような制限はありません。照合ができさえすれば、たとえば以下のような印鑑であっても届け出ることができます。1会社名がいっさい読み取れない印鑑2会社名がなく個人名のみの印鑑3会社名と異なる会社名が読み取れる印鑑なお、登記官は、登記所に提出された印鑑と照合すべき登記の申請書等の印鑑が照合に適さない場合には、改印その他相当の措置をとることを求めることができます(同規則9条の3)。

印鑑の提出方法

「印鑑届書」により届け出ます。その印鑑届書には、会社実印のほか、会社の代表者(代表取締役等)の個人実印を押印したうえで、その押印した印艦につき市区町村長の作成した証明書で作成後3カ月以内のものを添付しなければなりません(商業登記規則9条5項)。なお、会社設立など登記申請と同時に印鑑届書を提出する場合、登記の添付書類として当該印鑑証明書を添付していれば、それを援用することもできます(同規則61条2項)。

登記所に提出した印鑑は、印鑑記録(副印鑑記録を含む)に記録されるほか、印鑑および印鑑届出事項は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができるものを含む)に記録されます(同規則9条6項)。印鑑の提出後、印鑑カードの交付を申請し、受領します。

(印鑑の基礎知識―知らないではすまされない― 金融実務研究会(著)より抜粋)