「デジタル認証」「生体認証」の時代。ハンコの役割とは

加熱する中国のIT化。日本で電子認証は、受け入れられるのか

例えばIT大国・中国では「キャッシュレス化」が進んでいるように、
あらゆる場面での決済についても電子化が進んでいます。
日本でも「ペーパーレス化」が叫ばれていますが、
未だに「契約書、申込書の記入・捺印」が決済する場において、
多く見受けられます。

決済も電子化してしまえば、いろいろな手続きが
簡略化されて便利、なのですが、日本ではそれが進まない理由の
一つとして、私が考えているのは、「情報漏洩のリスク」があるから、です。

電子情報に対する日本人の意識とは?

日本では、電子情報については「漏洩するもの」という前提があり、
それはどんなに情報セキュリティを高めたところで、
「情報を奪おうとする側」と「情報を守ろうとする側」の
いたちごっこであるという見方や、あるいは
「電子情報は拡散性がとても高く、一つの誤操作で、
即時に情報が漏洩してしまう」というリスクの観点から、
決済の電子化は進まないものと考えられます。

例えば、仮想通貨流出事件についても同じことが言えます。
仮想通貨とはいえ、顧客から預かった、電子化された「お金」が
外部に漏れてしまった。これは銀行では考えられないことです。
だから仮想通貨の運用をやっている一部の人が儲かっていたとしても、
漏洩のリスクを考えると、二の足を踏んでしまうのが現実です。

また個人情報の漏洩事件についても、毎年どこかの
大きな企業が、何万件という規模で電子化された個人情報を
漏洩していることを考えても、重要な情報は、
電子化して取り扱うべきではない、と思うのも当然です。

コスパ最高のハンコ決済の未来とは?

コストの観点からも、情報セキュリティのコストは、
専門の業者をよび、設定・監視するのに、毎月何万円と
かける必要がありますが、ハンコについては、
ハンコを金庫に入れておき、鍵と暗証番号が漏れないように
管理するだけですみますので、何万円のランニングコストは不要になります。

コストの面、情報セキュリティの面からみて、
ハンコの決済というのは、実はとても優れているシステムだったのです。

確かに電子決済が普及すれば、物事がスピーディに進む、
メリットばかりなのかもしれません。
しかし、そもそも決済とは、契約や申込に対して、
決済する側・される側のお互いの慎重な合意によって行われるべきで、
出された書類に即座にハンコを押して済ませるものではありません。
めんどくさい手続きを踏むことによって、契約・申込内容を
しっかり合意し、あとあとのトラブルを防ぐ目的も担っています。

そういう意味で、ハンコの決済は、電子決済に比べて
確かなものであり、今後も残り続けていくものと、私は思います。