Q.会社で使われるハンコには、どのようなものがあるのですか?

Q.会社で使われるハンコには、どのようなものがあるのですか?

Q.会社で使われるハンコには、どのようなものがあるのですか?

A.会社で使われるハンコには、実印とそれ以外の認印とがあります。会社は、その業務遂行の過程でハンコを必要とする大量の文書をつくるので、会社のハンコにも、その用途に応じて、銀行印、契約印、発注印・受注印、請求印・領収印、割印など、さまざまな種類があります。また、職名まで刻んだもの(職印)のほか、組織名を刻むだけのもの(組織印)もあります。

実印と認印

会社は、その設立時に必ず実印を登記所(法務局)に登録しなければなりません(2-1参照)。実印は会社の代表者1名につき一つしか登録できないので、たとえば会社の代表者が1名の場合には会社の実印は一つしかありません。これら実印以外のハンコはすべて、認印ということになります。

会社の印鑑の種類

実印を含め会社で使われるハンコは、そこに刻まれる名義により、大きく「職印」と「組織印」とに分けることができます。「職印」とは、ある職にいる者の職務上用いられる、その職名を刻んだ印をいいます。会長印、社長印、部長印、支社長印などがその例です。「組織印」とは、ある組織の業務上用いられる、その組織名を刻んだ印をいいます。社印、事業部印、支社印などがその例です。

これ以外にも、その用途によって次のような種類に分けられます。
1.取引銀行への届出のハンコである「銀行印」
2.契約書に押印されるハンコである「契約印」
3.発注書や請書に押印されるハンコである「発注印・受注印」
4.請求書や領収書に押印されるハンコである「請求印・領収印」
5.契約書の正本と副本、原本と写しなど2枚の書類が1枚だった証として、両方にまたがって押印されるハンコである「割印」といったものです。

会社にたくさんの印鑑が必要なわけ

会社のハンコが、たとえば「実印」一つしかないとすると、とても不便です。わが国は、ハンコ文化の国であり、契約書に限らず、およそ公的な性格をもった文書には、ハンコを押すことが慣行になっています。とりわけ、官公庁に提出する文書には、たとえ三文判であっても、ハンコを押すことが義務づけられていたりもします。

一方、会社は、その業務遂行の過程で、日常的に大量の文書を作成します。これらの文書の作成を一つのハンコでまかなうことは物理的に不可能です。その使用頻度によっては、複数の部署や業務にまたがって一つのハンコを共用することが処理の遅滞を招くこともあります。名義や用途によってハンコを使い分けることで、文書に関する責任の所在があいまいになることを避けることができます。必然的に、会社はその業務を円滑に遂行するために多数のハンコを必要とするのです。

(印鑑の基礎知識―知らないではすまされない― 金融実務研究会(著)より抜粋)