Q.契約書などに押す、収入印紙と消印の役割とは?

Q.契約書などには収入印紙を貼って消印を押しますが、どのような目的があるのですか?

A.一定金額以上の契約書や受取書は印紙税の課税文書となり、収入印紙を貼付する必要があります。消印は、再使用を防止する目的で、収入印紙を貼付した課税文書に押印します。

消印とは

収入印紙の再使用を防止することを目的に、収入印紙と文書とにまたがって押印することを消印といいます。

印紙税の納付は、契約書などの課税文書に所定額の収入印紙を貼付し、消印することによって行われます。消印は、文書と印紙の彩紋(模様部分)とにまたがって、「判明に」印紙を消さなければなりません(印紙税法8条2項)。印紙を消す方法は、文書の作成者または代理人、使用人その他の従業者の印章または署名によるものとされています(印紙税法施行令5条)。

消印は、文書に使用したハンコに限らず、日付印などのゴム印でもさしつかえありません(印紙税法基本通達65条)。署名はボールペンなどの容易に消せない筆記具で、自筆で行います。

複数の人が共同して作成した文書に貼付した収入印紙は、その作成者のうちだれか一人が消印すればよく、必ずしも全員で行う必要はありません(印紙税法基本通達64条)。

収入印紙の貼付や消印がないと......

所得税や法人税のように直接納税する形式と違い、印紙税は収入印紙を購入して、課税文書に貼付・消印することで納付したことになります。

印紙を貼り付けなければならない課税文書に、印紙を貼り付けないで交付してしまうと、納税義務者である課税文書の作成者は印紙税を納付しなかったということになり、罰金として収入印紙額の3倍(自主的に申し出た場合は1.1倍)の過怠税が課されてしまいます。また、消印忘れの場合は3倍ではなく収入印紙と同額の過怠税になります。

印紙税は課税文書に課される税金ですので、最近は印紙税が課されない電子化された契約書を交わすケースが増えつつありますが、それでもまだまだ文書で交わすケースは多く、それに伴い過怠税の納付も後を絶ちません。過怠税は法人税法上「損金」とはなりませんので、無駄な納税をしないよう、印紙の貼付・消印もれがないように努めましょう。

コラム:郵便切手やはがきに押される消印

冒頭でも触れたように、消印には、切手やはがきに押される「日付印」があります。これは、切手などを再使用できないようにするとともに、郵便物の引受日や時間帯、引受郵便局を示す役割を兼ねており、正式には「証示印」といいます。なお、クイズや懸賞などの応募要項に、「○月○日締切、当日消印有効」などと書かれていることがありますが、これは消印有効日以前の日付の消印が押してあれば応募を受け付けてもらえます。

 

(印鑑の基礎知識―知らないではすまされない― 金融実務研究会(著)より抜粋)