Q.印鑑はどのような役割を果たしているのですか?

Q.印鑑はどのような役割を果たしているのですか?

A.鑑は手持ちのハンコ(印章)を書類に押した「跡」の印影のことで、俗にハンコを印鑑と呼んでいます。各種書類等に印鑑を押印する行為は、そこに記載されている内容について相違ないことを認め、全責任を負うことを意味します。

印章・印影・印鑑とは

世間一般に、印章のことを「ハンコ」と呼んでいます。ハンコは漢字で「判子」と書き、文字を刻んでできる「印章・印判・判」と同義語として使用されています。ハンコは、正式には「印章」と呼ぶことになっていますが、一般的に「印鑑」という呼び方で使用されています。

印章 ハンコのこと。一般的に印鑑と呼んでいますが正確にはハンコのこと
印影 ハンコを押した跡のこと
印鑑 官庁・取引先に提出された印影のこと

ハンコを押すこと(押印)の意義

わが国では、各種取引において昔からの習慣または法令等により、責任の所在を明らかにするため「印鑑の制度」(官庁・取引先等に印影対照用として事前に届け出ておく印影)があります。また、商業登記関係では、印鑑登録をするための書面(印鑑届書)に届出印を押印して提出する義務が課せられています(商業登記規則9条1項)。

各種書類等にハンコを押す行為は、その者がその内容について責任を負うという意思表示です。仮に後日トラブルが発生しても、ハンコが押してあれば、たしかに商品売買や小切手の振出し、預貯金の払戻しを受けたということを証明できるわけです。特に、金融機関では、毎日大勢の顧客の預金の支払事務を取り扱っており、本人であることを確認する手段としてハンコが使用されています。

押印は慎重に

書類等にハンコを押す行為は、その書類等に記載されている内容を当事者双方が履行することを約束する行為です。市町村役場・区役所へ提出する出生届・婚姻届・税務署へ提出する申告書などにハンコを押すのは、記載事項に相違ないことを認め、相違したときには責任を負うことを誓うという意味です。

書類等への押印は、当事者がお互いに面前で住所・氏名を自筆で記入しハンコを押すのが原則です。

自筆ではなく住所・氏名が記載されたゴム印・タイプ印字された書類等に押印するケースが散見されます。この方法でも法的な効果は変わりませんが、証明力が低下するおそれがあります。また、トラブルが発生したときに、言い逃れ材料にされる可能性もあるので注意することです。

ハンコは放置するな一慎重に管理保管

ハンコ一つで人生が大きく変わってしまうことがあります。内容を確認せず借用書に押印して借金地獄、ハンコの保管がおろそかで盗難に遭い悪用されて多大な被害があった等の事例が多く発生しています。企業では、契約上必要である代表取締役の実印、銀行取引に必要な銀行印、対外的に必要な会社印など、一般家庭では、書留・宅配便などの受領印、銀行取引印、実印など、使用目的によっていろいろな印鑑があります。

ハンコは大切なものであることを認識して、盗難・紛失防止のため、机上などに放置せず場所を決めて厳重に管理することです。企業では「印鑑管理規程」などを定めて取り扱うことも多いようです。

(印鑑の基礎知識―知らないではすまされない― 金融実務研究会(著)より抜粋)