Q.契印や割印、止め印は、どのようなときに使われるのですか?

Q.契印や割印、止め印は、どのようなときに使われるのですか?

A.契印や割印は文書の変造偽造を防ぐものです。契印は、2枚以上の文書でなされている場合に、その文書が続いていることを示します。割印は、独立した二つ以上の文書が、同一または関連していることを示します。また、止め印は、文書の末尾に余白が生じたとき、ここまでで文書が終わっているということを示すために押印します。

契印や割印の意義

金銭貸借証書など、証拠として必要となる文書を作成する際は、後日の紛争の原因とならないように、綴目印や訂正印を押印するよう、明治時代の政府が「達」を出しています(明治8年太政官達第77号)。

綴目印とは、文書の続きを示す契印のことで、「太政官達」とは、「太政官布告」とともに、明治初期に最高官庁として設置された太政官によって公布された法令の形式のことです。

契印や割印は、文書の作成者が、その文書のつづり順や関連性を保証するものです。時として、書類の一部が脱落したことを理由に、紛争が生じることがありますが、そのようなときに契印や割印が証拠となりうるのです。

*契印の方法

契印は、重要文書が2枚以上にわたる場合、それが一体の文書であり、かつその順番でつづられていることを明確にし、落丁や抜取り、文書の差替えを防止するために押印するものです。

登記規則においても、申請書が2枚以上になるときには、申請人、またはその代表者もしくは代理人は、各用紙のつづり目に契印をしなければならないと定められています(商業登記規則35条3項、不動産登記規則46条1項)。

なお、文書が長文にわたる場合は、複数のページごとに契印をするのは手間がかかるものです。そういうときは、容易に書類が脱落しないように製本テープなどで糊付けして冊子状(袋とじ)にすれば、表紙と製本テープなどの帯にまたがるように1カ所に押印すれば事足ります。

契印は、文書の署名の末尾に使用した印を必ず使用します。二人以上の署名者がいるときは、原則的にはその全員が契印します。

 

割印について

割印は、複数の文書のそれぞれにまたがるように押印することで、文書が同一のものであることやなんらかの関連性があることを示し、また、これらが同時に作成されたことを証明します。

同じ契約書を2通以上作成し、複数人でそれぞれ1通ずつ保管しておくような場合や、領収書とその控の間、基本契約書とその細則を定めた覚書との間に割印を用いることがあります。

割印は、文書の署名者が二人以上である場合は、その全員が押印をします。ただし、ハンコは、署名押印に使ったものでなくてもよいとされています。

止め印とは

止め印は、文書に余白が生じたときに、ここまでで文書の記載が終わっているということを明示するために、文書の最後尾に押印するものです。「以下余白」と記載しても、止め印と同じ効果があります。

当事者の一方だけが署名押印して相手方に渡してしまう差入式の文書の場合、後で不当に記入されるおそれがありますので、念のため、止め印をしておくことが有効です。止め印は、署名の末尾に押印したものと同一の印を使用します。

(印鑑の基礎知識―知らないではすまされない― 金融実務研究会(著)より抜粋)